落語ビデオを観る~入船亭扇橋「ねずみ」

 前にも書きましたが、落語についてはまったくの初心者で、
 いま、東京の4大寄席制覇をめざし、TVやネットの落語番組をチェックしたり、図書館でビデオやCDを借りたりして、勉強中です。

 今年の夏に、新宿末廣亭(7月中席)に行ったとき、最後から何番目かに、
 入船亭扇橋師匠が登場しました。
 大拍手。ひときわ盛大な掛け声。
 でも、わたしは、なれてないせいか、噺がほとんどわからず、残念でした。
 始めから終わりまで、なにやらウニャウニャと言っていて、
 何回も、しし十六で、ししが、ししししし・・・・、
 と、くりかえすのですが、聞き取れたのはそれだけで、あとで、何の噺か調べようとしたのですが、結局わかりませんでした。
 でも、お客さんはみんな笑っていて、なんだかとてもすごかった。
 この日見た噺家さんの中では、ものすごく不気味に「不精床」を演った古今亭志ん五とともに、妙に印象に残りました。 

 そのすぐ後に、たまたまNHKで、扇橋師匠の「わら人形」を観ました。
 これはおじいさんが花魁にだまされるストーリー。
 さすがに聞き取れないということはありませんでしたが、だまされてボロボロになるあたりが妙に真に迫っていて、これはこれですごいものでした。

 というわけで、扇橋師匠については、単なるヨレヨレのおじいさん、というイメージがすべてだったのですが、
 つい最近、図書館に扇橋師匠のビデオがあったので、試しに借りてみました。

 NHK古典落語名作選 「ねずみ」 入船亭扇橋(9代目)
 (収録年等のデータは一切無し)


☆ あまり関係ありませんが、北斎肉筆のねずみ

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 ビデオを観始めて、ちょっとびっくり。
 かなり以前の収録のようで、まあ、あたりまえですが、若くてきりっとしています。


☆ 扇橋師匠(若い?頃)

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 「ねずみ」は、左甚五郎が、落ちぶれた宿屋をたてなおすストーリー。
 飄々とした語り口が、ふらりと立ち寄った旅の天才彫り物師にぴったりで、独特のかっこよさがあります。
 甚五郎相手にズケズケとものを言うとぼけた宿屋のこどもから、最後の最後に、胸のすくような一言を言う、甚五郎に命を吹き込まれたネズミの彫り物まで、すべての登場人物が生き生きとしています。
 もっとも、腰の立たない宿屋のおやじだけは、逆にしゃんとしすぎ?

 楽しく笑って、最後の一言でスカッとする。
 なんだか、よくできた映画でも観たような気分になりました。

 扇橋師匠、ただのおじいさんではなかったようです。
 寄席での声援のわけが、何となくわかったような気がします。今度聞く時までには、何とかついていけるようになっていたいものだ、と思いました。
 やっぱり落語は奥が深い。

この記事へのコメント

ネコメ日記
2006年11月20日 12:05
扇橋師匠の「しし十六」というのは『弥次郎』という噺です。
嘘つきの弥次郎がホラを吹きまくります。
扇橋さんは声小ちゃいし、揺れてますが、とってもいいですね。
2006年11月20日 15:24
ありがとうございます!
 これだけ、どうしても噺の名前がわからなかったので、ほんとにうれしいです。
 他のお客さんは、みんな大笑いしてたので、噺を知っていれば、と思うと残念です。
 さっそく図書館等で、CDか何か、探してみます。
 落語は聴き始めたばかりですが、これからも、懲りずに、なるべくたくさん落語のことを書いていきたいと思ってます。
 また、いろいろと教えてください。
2006年12月02日 12:58
こんにちは。はじめまして。
私も扇橋師の「ねずみ」はビデオで見たことがあります。味のあるいい噺だと思いました。
落語は三度の飯より、とはいいませんが三度の飯と同じぐらいすきなものですから、これからもNoraさんの落語評楽しみにしています!
(私も9月に圓生、志ん生についてちょっと書いてみましたので、よろしかったらご覧下さい)
それでは、また。
2006年12月02日 23:12
はじめまして。
 落語について、ほんとはもっとたくさん書きたいのですが・・・・。
 記事を読ませていただきましたが、とても参考になります。
 わたしもちょうど、圓生、志ん生のビデオを見たところですが、何を書いてよいやら、手も足も出ない感じ、です。
 とりあえずはなるべく寄席に行って、体験記みたいのを書くしかないかな、と思っています。
 では、これからもよろしく

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